目次
和風デザインの特徴について
白鳳文化の高松塚古墳壁画のような華やかな色彩美、質素で静かなに美を見出す室町時代のわびさび、江戸時代になると琳派や狩野派など豪快で力強く・・・
日本の美意識は幅広く時代などによって異なるものになります。
特に奈良時代~江戸時代にかけての特徴を「日本らしい」と感じる方が多いです。
これらの時代の絵画、建築、彫刻、工芸など見られる特徴や技法をデザインの要素に取り込むことで「和風デザイン」をつくる事ができます。
特にフォント、写真、イラスト、模様、色などの特徴を抑えるとより良いものが出来ていきます。
和風デザイン専門店ひだちデザインでは、和風デザインの実績が多数ございます。よろしければ、ご覧ください。
歴史・時代と雰囲気を大切にしたビジュアル
デザインを見る時に一番印象に残りやすく、一番最初に認識されるものがビジュアルです。
写真やイラストなどを古い日本画や日本庭園など時代の背景がわかりやすいものを使用して時代感がでるように補正をかけたりするだけでも和風の感じが出てきます。
時代に合わせたモチーフを作る
例えば、奈良時代をモチーフとしたサイトに忍者が登場したらびっくりしちゃいますよね・・・!
この時代に忍者は登場しないはずなので、実は奈良時代に忍者がいた!っていうことが売りのサイトでない限り時代とモチーフのミスマッチが起こってしまいます。
時代の雰囲気を出す
『和風デザインの特徴について』にも書きましたが日本の美意識は時代によって異なります。
そこで大事なのは何時代の感じを出すか?その時代のどこにスポットを当てるかです。
例えば、美術館のサイトやポスターを作る際には同じ江戸時代の美術作品でも琳派のような豪快な作品、浮世絵のような作品、焼き物などの工芸品などで全く異なるデザインになります。そこのチョイスを間違えるとミスマッチなデザインになってしまいます。
その時代にあった雰囲気のテクスチャー・色・補正をかけていくことでミスマッチなくいい感じの和風デザインを作る事が出来ます。
その時代を知るところから始める
『時代に合わせたモチーフを作る』『時代の雰囲気を出す』もモチーフとなる時代背景や歴史を知っていないとつくる事が出来ません。
まずは、時代を知る所から始めましょう。
そもそも、そのサイトのコンセプトに何時代の和風デザインをもってくるべきかを知るためにはその商品のことをより知ることも大事です。
時代を知らずにデザインや企画から入ってしまうと商品とデザインのミスマッチが起こってしまいます。
余白や構図で日本らしさを演出する
例えば、襖絵や浮世絵などの日本画に見られる大胆な構図や余白。
極端なアシンメトリー配置から成る大きな空間は余韻を感じさせて、感情に訴えかける効果があります。
このような構図から生まれる余白は日本独自のものではないでしょうか。
千利休が狭い茶室はいい例だと思います。
千利休の狭い茶室の視覚効果
千利休の作った茶室は狭く、特に入り口は立ったまま茶室に入ることが出来ないほどだったそうです。
低い姿勢から茶室の中を見た時、鐘の音、美しい床の間、湯気の立つ茶釜、小窓から見える庭園などそこには至高を凝らした非日常の空間が広がっています。
また、低い位置から茶室を見ると実際より天井が高く、奥行きが広く感じる視覚効果もあります。
明朝体や筆字を使う
古くから日本には筆文化があったので、フォントに筆の動き表現されたデザインは日本らしさが出てきます。
代表的ものは寄席、相撲などで使われる江戸文字や寄席フォントでしょう。
日本らしいモチーフにキャッチコピーやタイトルとして使うと日本らしい雰囲気の和風デザインになります。
筆字の特徴は『はらい』『はね』『とめ』が表現されていることです。
これは明朝体にも含まれる特徴です。
また、モダンな印象の書体と上記で書いたような和風のビジュアルを組み合わせることで和風モダンなデザインをつくる事も可能です。
明朝体の特徴
縦画と横画はそれぞれ垂直・平行で、おおむね縦画は太く、横画は細い。
横画の始めの打込みや終りのウロコ、縦画のはね、また左右の払いなどに楷書の特徴を残しています。
『大人っぽさ』『洗練性』『上品なイメージ』などのイメージを持ち、
細くするとモダンなイメージになり、太くすると歴史や趣のあるフォントになっていきます。
筆字の特徴
筆字の特徴は『はらい』『はね』『とめ』が表現されている。
毛筆体はさらに筆書き特有の勢いのあるストロークや柔らかさなどのディテールまでこだわってます。
日本では、江戸時代に勘亭流や寄席文字、相撲文字、籠字、髭文字など、当時の文化を象徴する書体が創り出されてきました。
和風デザインにマッチしやすいWEBフォント3選
– はんなり明朝体
やさしくて、ふんわりとした、ひらがなとカタカナをデザインしています。
筆者はよくボディーコピーなどのワンポイントに使ったりします。
– さわらび明朝
太めのフォントで見やすいのが特徴。
筆者は見出しなどによく使います
– Noto Sans Japanese
美しく読みやすいとよく言われる『Noto Sans』の日本語版。
明朝体や筆文字にも合い、筆者は本文(ベースフォント)によく使います。
和風デザインにマッチしやすいフリーフォント3選
– 刻明朝
人工的でやや機械的な「硬さ」が特徴。
仮名文字についても横棒は漢字と同様真横に一直線の伸び、同様のウロコを持っています。
– 明朝體フォント むつき
昭和レトロな印象を持つ明朝体。
筆っぽさもあり幅広く使えるフォントです。
– 衡山毛筆フォント行書
書家の青柳衡山先生が揮毫及び作成されたフォント。
和風の雰囲気があり、上品な字体になっています。
※ライセンスなどに関しては必ずご確認の上ご利用くださいませ
日本の伝統色を使う
日本人は古来より暮らしの中に多彩で繊細な色合いを取り入れてきました。
四季のある国で色とりどりの自然に触れた日本人ならではの感性です。
それらの色は芸術、工芸、文学、芸能に取り入れられて日本文化に深く息づいています。
歴史の流れの中でも様々な色が産まれてその時代らしい色合いとして使われています。
下に時代ごとの色を数点上げてみます。
平安時代の色
日本古来の趣きをそのままに大陸影響などで新しい文化を生み出した平安時代。
この時代の色彩は『雅』と言われています。
■ 色例
萌黄色(#a7bd00)
紅梅(#F69096)
二藍(#915c8b)
一斤染(#ffd3e4)
桃山時代の色
千利休が好んだとされる『洗練美』。
柔らかく渋みのある色が好まれる一方で濃厚な色合いも好まれていた。
この時代の色彩は「綾」と言われています。
■ 色例
褐色(かちいろ/#4d4c61)
群青色(#465DAA)
茶褐色(#664032)
江戸時代の色
この時代の色彩は庶民が経済力を持った影響もあり地味で洒脱、きりっとした感じの色合い『粋』とも呼ばれています。
武家を中心には絢爛豪華な色彩が好まれました。
利休色(#8f8667)
利休茶(#897845)
利休鼠(#888E7E)
蘭茶(#D19826)
かさね色目を使う
平安時代の女性貴族の伝統衣装『十二単』
十二単は季節に応じてさまざな色のうちきを重ねます。
それは「かさねの色目」と呼ばれ、春夏秋冬パターンがあります。
平安時代の女性貴族は、かさね色目をもった衣装を何枚も重ね着して袖、裾、襟などに5色以上のグラデーションを作り出しました。
このように日本伝統色の配色には、日本独自の美意識が集約されているといってもいいでしょう。
詳しい配色は下記のサイトが非常に参考になります。
– 日本の伝統配色 (春) | 襲の色目 – color-sample.com
ぼかしをかける
ぼかしをグラデーションとして取り入れると色味の変化が日本人好みになり良い感じの和風デザインになります。
これは経験論なのでなかなか難しい所ではありますがひだちデザインのサイトでも随所に使っている技術です。
これは水墨画などの文化に似ていると思って使い始めたのですがなかなか和風デザインにマッチします。
特に余白を大きく取ってぼかしたグラデーションを使うことで効果的に和風が表現されます。
日本伝統の文様をテクスチャーとして使う
和風デザインをする時、様々な柄や文様をしよう致します。
有名なものをあげますと「麻の葉」「唐草模様」「矢絣」「青海波」「市松文様」があげられるでしょうか?
ですが、それらの文様よりさらに昔に用いられたものは華やかできめ細やかでいて色とりどりにデザインされています。
このような柄・文様を和風デザインに用いると和風モダンなサイトやポスターにしっくりと来ます。
天平の美術で有名といいますと毎年、紅葉色づく秋の奈良、奈良県立美術館で催される正倉院展で観賞することができます。
その華やかで優美な美術品を観賞するために全国から奈良へと足を運び毎年長蛇の列ができます。
度々、天皇陛下や皇族の方々もご覧あそばします。
平安時代の文様
平安時代に宮廷文化が成熟して行きます。
大陸から渡ってきた文様を取り入れつつ独自のアレンジを加えて、日本らしい文様を作っていきました
流水模様
亀甲文
七宝文
江戸時代の文様
江戸時代には芸術的な技術革新により文様も今までにないようなものが出てきました。
例えば、友禅染の技術が確立したことにより染めの技術が向上して絵画的な表現ができるようになったり、浮世絵では錦絵と呼ばれる多色印の技法が確立しました。
このような事がありより高度な文様が出てきて、見て楽しむ文様となっていきました。
菱文
市松模様
青海波
白銀比を使う
白銀比とは古来より日本でよく使われる黄金比のようなものです。
大和比とも呼ばれるほど日本人には馴染みのある比率です。
黄金比の1:1.618に対して、
白銀比は1:1.414の長方形です。
白銀比は、古くから日本の建築には使われており、有名なところでいうと法隆寺の金堂と五重塔などに使われています。
用紙規格のA判(A3、A4など)やB判(B3、B4など)の比率にも採用されています。
この白銀比の計算ツールもありますのでデザインにすごく便利です。
– WEB計-黄金比、白銀比などの計算 – color-sample.com
和風デザインの技術はこれだけにとどまらない
色々と紹介してまいりましたが、今回はコツだけ書いております。
なので、この記事を参考にしていただいてより深い和風デザインを学んで頂くきっかけになればと考えております。
もちろん、質問などございましたらSNSやお問合わせからなんでも聞いてくださいませ。